旧相馬家住宅つれづれ
2024年度は大きな変化の年に
温かい日差しに春の訪れを感じられるこの頃、旧相馬家住宅も4月1日から2024年度の公開が始まります。コロナ騒動による長い閉館から解放され、これから大いに来館者も増えると期待して、開館準備に余念のない日々が続いています。
昨年は、秋に重要文化財指定5周年を記念した旧相馬家住宅の冊子を発行しました。来館された方から資料を兼ねた詳しい旧相馬家住宅のガイドブックが欲しいと、以前からよく言われておりましたので、ようやくお届けすることが出来ました。この本は書籍売り場で販売いたしますので、ご来館の折にはぜひご覧いただきたいと思います。同じ10月には、札幌の道立近代美術館学芸部長の五十嵐聡美氏をお招きし、蠣崎波響を中心にした歴史講演会を開催しました。また、WEB上で静かなブームを起こしているコミック漫画「朧(おぼろ)の花嫁」の舞台に、旧相馬住宅が取り上げられたのも話題になりました。
そして、今年は大きな変化の年にもなりそうです。8月の函館市花火大会に「柊(ひいらぎ)の会」会員をご招待する予定で準備しています。建物に関しては、コロナ騒動で約3年間閉館していた影響で、至る所に修復の必要が出てきています。今年の大きな目標としてこれらの修復に取り掛かります。
前に申し述べていますが、代表の私も5月で85歳になります。昨年あたりから、現場で指揮を執るのは体力的に無理を感じるようになりました。運営を継承するために昨年秋から娘と姪を呼び寄せ、昨年秋から運営継承の勉強をしてもらっています。今年中に、若い人たちに旧相馬家住宅の行く末を委ねたいと思っています。
ひとりの平凡な民間人が朽ちた屋敷の修復に乗り出し、函館市をはじめとする行政と一般有志の協力で2018年12月に国の重要文化財に指定されました。これからは若い人たちを中心に、旧相馬家住宅に熱い心をお持ちになり志を共にする「柊の会」会員の皆様のお力も借りながら、引き続き行政の支援を得て長く保存を続けてくれることを願っています。果たして計画通りに守って行けるかどうか、私を含めたスタッフの心構えが試されています。どうか、北海道の歴史に重要な働きをした相馬哲平の屋敷を守って行くことに心を寄せて、お一人でも多くの方のご参加をお願い申し上げます。(代表・東出伸司)