旧相馬家住宅つれづれ
2022年度の運営に向けて
2022年4月11日
4月に入り、旧相馬家住宅のある元町付近も観光客の姿をよく目にするようになりました。コロナウイルスの状況が気になるところですが。
この2年間、ほとんど旧相馬家住宅の公開ができませんでした、私の人生にとって最も大切で重要な時間でしたのに、運営については何も出来ずにすぎてしまいました。しかし、旧相馬家住宅の修復計画は、この度の屋根瓦修復工事の終了で一応の区切りがつきました。
これからの修復は、抜本的に耐震も視野に入れた構造問題を文化庁と考えなければいけません。焦らず、長期保存のため検討していくことになります。
何度もお伝えしていることですが、周囲の市所有施設と違い、運営に関する補助が一切出ていないので、途中で挫折感を覚え、投げ出したくなることも幾度もあります。そのたびに、お二人の専門家のかたから聞いた重要文化財の保存に関するお話を思い出し、自分の心を戒めています。
お一人は、私の深く尊敬する東京工業大学名誉教授の平井聖先生、もうお一人は、公益財団法人文化財建造物保存技術協会参事の中内康雄氏です。お二人からは、「古い家を保存することは、自分の家を守るのと同じことだ」とそれぞれ伺うことがあり、懇々と教え諭されたような気がしています。
はるか昔、函館発展の基礎を築いた恩人の建てた大切な家。その人の魂が生きているこの屋敷は、自分の先祖が造った家と同じで、私は「我が家を守る」一念でがんばってまいります。
国指定重要文化財
旧相馬家住宅
代表 東出伸司